アンパンマンのドキドキパンチ 2012/9/5


 次々とアンパンマンパンチを差し込んで攻撃を繰り出します。攻撃が成功すると頭のバイキンマンが吹っ飛んで 攻撃に使ったアンパンマンパンチが全部抜け落ちる遊びです。

 ゲームの始めはバイキンマンを下へ押し込んでスタンバイしますが、このおもちゃでは押し込もうにも 引っかかりが全く無く なり、遊ぶことが出来なくなりました。



動作原理

 このおもちゃの原理を簡略化した模式図で示すと左図の様なものになります。

1. はじめにバイキンマンを下に押し下げますが、これは飛び上がり芯棒を押し下げているわけで、十分下げるとフランジの 一つがフックの下にもぐりラッチされます。

2. アンパンマンパンチの攻撃が成功したときは、図の作用バーのA点またはB点を押すのに成功したということです。

3. 作用バーはどこにも固定されてはおらず、A点を押しても、B点を押してもテコの作用でスライドリングをフックが外れる方向に 押し出します。

4. するとスライドリングのフックにラッチされていたフランジがフリーとなって芯棒が一気に跳ね上がると いうのが動作原理です。

故障原因

 今回の故障はスライドリングのフック側が破損したと考えられます。スライドリングはネジ止めで二つに分解できます。 ところが我々の病院に運ばれてきたときにはすでにフック側のリングが紛失してありませんでした。
 従って正確にはどんな格好をしていたのかは良く分かりませんが、おおよそこんな物だろうと勝手に想像して話を進めて います。

対策

 対策としては紛失したスライドリングの片方を再生させる必要があります。それには少々気がかりなことがあります。 バイキンマンを押し下げてみるとひどく重いのです。体重計を利用してバネを押し下げる力を計ってみると なんと 9kg 必要でした。子供のおもちゃにしてはこれって何かの間違いではないかと思われるくらい力が必要です。

 この力を 5mm 程度のフックが支える必要があるのです。プラスチックではとても支えきれそうにもないので、金属ならあるいは持ちこたえるの ではないかとの期待から、 2mm の 真鍮板と 5mm の真鍮棒を組み合わせて作ってみました(結果は下の写真)。
 フックの大きさは 5x4x2 mm です。半円のリング部分は内径 17.5mm 、両端のビス穴は 3mm です。

 本当はかかる力がおおよそ分っているので、フックの根元の応力などを計算して材料の適否を判断しておきたいのですが、不案内な分野なので残念ながら割愛です。

 修理は一応成功したようで、恐る恐る動かしてみていますが、とりあえず何とか持ちこたえています。今回はこれで完了としますが、 この後は 芯棒のフランジが磨耗して故障するのに違いないという不吉な予感をいだいています。