昆虫図鑑の修理
本文の綴じ直し 2012/12/12

 みんなが大好きな昆虫の名前を調べる図鑑がこわれてしまいました。本文を綴じていた糸が切れて、 本がバラバラになりかけています。
 こうなるともうテープを貼ったりした程度では修復できません。

 本格的に修理するには、まず本をパーツごとに分解してしまいます。
 本文の綴じ糸は全部切り離して折丁ごとにばらばらにし、接着に使われた糊などもきれいに取り除きます。
 見返しは表紙からていねいにはがします。最初と最後の折丁に見返しが接着されている部分はそのままにしておきます。


 本文の綴じ作業がメイン工程となります。オーソドックスな糸かがりは手間が掛かるので、ここでは大幅に 簡略化した「綴じ柱」方式でやっています。
 綴じ柱方式は糸で下の折丁をかがってゆくのではなく、別に綴じ柱と呼ぶ繊維束を用意して、これを抱き込むように 綴じ糸を通してゆきます。上下の折丁は両端でかがるだけで途中は結束しません。
 途中かがらないので一々糸全体を綴じ穴から 引き出す手間が省けます。左の略図で示すように、とじは糸を綴じ穴から鈎針でわずかに引き出し、その輪の中に綴じ柱をくぐらせるだけで済みます。そのあと糸を引いて輪を閉じます。
 最終的にはこの綴じ柱で本文を吊って、その両端で表紙に固定するような構造になります。

 本文が綴じ終わったら背固めの工程になります。
 本の体裁として表紙の背が平な角背と、丸みをおびた丸背のスタイルがあります。 左図は丸背仕立てですが、 どちらにしても本文の背を糊で固めて、表紙とのつなぎの寒冷紗などの繊維を貼り込む作業を行います。
 飾りとして花ぎれを貼ったりすると本らしくなります。必要ならしおりなども貼ります。

 背固め工程の終わった本文を見返しの裏で表紙に貼り付ければ完成です。