アンパンマンカー その2
2013/4/7

 ここの連載コラムの最初の方で取り上げたアンパンマンカーと同じ種類のおもちゃの再登場です。
 今回は過負荷防止用クラッチの小さいギヤが破損したケースです。
 前回と異なりギヤが揃っていたので、 前回の修理は私の思い込みで誤ったことをしたのに気がつきました。
 強制的に外力を受けた時の安全装置(クラッチ)が欠けていました。 修理を受けた時からギヤが不足していたとはいえ、 知らないという事は恐ろしいことです。

 今回の修理は新味もありませんが、破損したギヤをコピーしたギヤと交換することで修復しました。 材質が異なるので耐久性などに 問題がありそうですが、とりあえずは動くようになりました。(写真左下:組み込み状況。)

破損したギヤを瞬間接着剤で貼り合わせて形を整え、これを原型としてシリコン型をとります。 この型にエポキシ系の樹脂をモールドしてコピーを制作します。

 前回のアンパンマンカーの修理では、欠損したギヤ(2組)の歯数を合わせることにだけに気を取られて、 それ以外の事は何も思いつきませんでした。
 確かに子供が車を手にとって、床に押し付けてブーブーなどと言いながら動かしたら、 中のギヤはどうなってしまうのでしょうか。想像 するのも恐ろしい事態ですね。安全装置は不可欠です。

 クラッチの部分を抜き出してみると左のイラストのようになっています。
 小さいギヤは固定ギヤで、シャフトといっしょに回ります。大きい方のギヤは後ろのスプリングの力でクラウンギヤを介して平面的に小ギヤと噛み合っています。
 ここでスプリングの押し付け力を超えた外力を受けると、クラウンギヤが山を乗り越えてしまい、 ギヤどうしが空回りします。

 蛇足ながら前回のおもちゃ修理で制作したギヤは左図に示す2組です。クラッチの部分を固定ギヤにしてしまいました。
 初めからギヤが欠品だったのは、客先で分解して紛失したか組み付けが面倒だったのか、 そのまま我々の病院に持ち込んだためでした。
 修理に取り掛かるのが納期まじかにズレ込んだあげくギヤ紛失を発見したものですから、 客先に紛失ギヤの有無を問い合わせるチャンスを逃してしまったと言うのが実情でした。