小型簡易スピーカの修理
2013/4/14


 おもちゃで使われる部品の中では数少ない汎用部品として、左のような簡易スピーカが使われています。
 我々の修理経験から言うと、このスピーカはしばしば故障しています。しかし市販されているものなので、交換修理には支障ありません。
 当おもちゃの病院でも、常時 ある程度のストックを持つようにしているので交換にはあまり不自由しません。
 とは言うものの、時には手持ちのサイズと合わないケースが出てきます。またチェンジニアには飽き足らず、とことん 修理しようという仲間も居ることは確かです。直そうと思えばけっこう修理に成功するようです。

 この簡易スピーカの構造は左図のような簡単なもので、故障要因はきわめてわずかです。
 故障のほとんどはボイスコイルのリード線の断線に集中しています。中央のボイスコイルそのものの断線はまれです。
 リード線の断線は端子台に接続される部分でよく見られ、端子台そのものの接着が剥がれて断線などという ケースもあります。まれに振動板の途中で断線しているケースもありますが、いずれにしても、 目視で断線が見て取れる場合が多く、修理を容易にしています。

 修理は基本的にはリード線を継ぎ足すことに尽きるのですが、何分にも線が細い。およそ直径 0.05mm 程度のエナメル絶縁銅線が使われていて、ルーペを使わないとよく見えないという難点があります。
 線を継ぎ足す上で好都合なのは、エナメル銅線の被覆はウレタン系塗料が使われていることが多く、被覆をはがさないでハンダ付けが出来る点です。被覆のまま溶融ハンダの中をくぐらせると、線端からハンダが濡れて乗ってきます。

 左の写真で修理の一旦を紹介します。
[1] 写真上から端子台でボイスコイルが切れた状態を示します。残留リード線が長く、程度の良いトラブルです。
[2] 端子台に補助のリード線をハンダ付けします。ここでは 0.08mm の線を使用。
[3] ボイスコイルと適当な長さに切った補助リード線を接続。
[4] 接続した箇所が短絡しないように線を溝に収めて完了。

 ボイスコイルが端子と正常につながれば、露出したリード線部分をホットメルト樹脂などで 保護コーティングして完成です。

 それにしても外力を受けやすい端子台のところで断線するのは理解出来るとして、 振動板の中央あたりで断線するのは良く分かりません。 まさか振動による疲労が原因だなんてことは無いんでしょうね。