カルテ変遷 2013/11/23
修理の話ではないのですが

 近隣の方からおもちゃの修理をお引き受けするに当たっては、名前・連絡先などの最低限の情報をお知らせ頂いています。さらに入院修理のためにお預かりする場合、返却日時・場所などのお約束を記した預かり証の発行も必要です。
 当おもちゃの病院では、これまでにこれらの記録方法を手探りで模索しており、何回も改訂を繰り返してきているのでその経緯を簡単に記録しておきます。

第1世代カルテ

 おもちゃの病院を始めた当初は、カルテはどこかよその病院のカルテを参考にして、A4のコピー用紙1枚をまるごと 申込書兼カルテとして使用していました。紙が大きいぶんいろいろ記入項目が並んでいました。
 このほかに預り証としてやはりA4の大きさのものをお客さんにわたしていました。

 この方式の具合の悪いところは、カルテはドクターがおもちゃと共に持ち帰ってしまうので、事務局に記録が残らない 点でした。受付係りが手書で記録を作っていましたが、もし記録漏れをおこすと事務局では消息が分らなくなってしまいます。しかるにお客さんからの問い合わせは事務局に来てしまいますから、事態が分らずに困ったということが何度かあったと聞いています。

 もう一つ問題点は、修理するおもちゃの番号付けの重要性に気付かなかったことでした。おもちゃの病院が開かれる度に、 取り扱うおもちゃに1から番号を振り直していたため、おもちゃに振られた番号からは品物が識別できないという欠陥 がありました。最終的には関係者の記憶に頼って処理していたというのが実態だったと思います。
 世の中の商品と同じようにシリアルナンバー付けが必要でした。年間修理数を出すにしても、全ての記録を手計算で集計し直す必要がありました。取扱い数が多くなるにつれ 処理が煩雑にならざるを得ませんでした。

第2世代カルテ

 そこでとりあえずパソコンにデータを取り込んで処理しようということになりました。
 取扱データはどんどん増える運命にありますから、最初から大量データを想定して Microsoft の Access で システムをつくり上げました。

 お客さんに簡単な申込書を記入してもらってそれをパソコンに入力します。即座にプリンタからカルテ、預り証、 おもちゃに貼付する現品票をA4用紙1枚に打ち出すようにしました。印刷用紙には予めミシン目を入れておいて、おのおのを 簡単に切り離せるようにしました。

 当然おもちゃIDは連続通し番号で自動で割り振られます。カルテ記入項目は第1世代の内容をおおむね踏襲しました。
 この方式の良いところは、受付と同時にリアルタイムでデータ入力しているので即時にいろいろなことが分り、例えばリピータであれば過去データがすぐに引き出せるので申込書の記入が不要になります。また複数のおもちゃが持ち込まれた場合でも、申込書は1枚で済みます。きれいに印字された預かり証を出せるのも担当者としてはうれしいところです。

第3世代カルテ

 パソコン処理方式をほぼ1年間試行してみたところ、いくつかの問題点が見えてきました。

  1. 1台のパソコンで入力業務を行っているので、同時に多数のお客さんが見えたときには対応しきれないこと
  2. パソコン入力業務はある程度の慣れが必要なため、誰でもが容易に交代出来るわけではないこと(とくに文字入力 スピードが問題になる
  3. カルテ記入項目をたくさんつくりましたが、1年間記入を試みた結果これらのデータはほとんど利用しなかったこと.  要するに何に利用するのか分らない項目に労力を掛けていたことが分りました
  4. おもちゃの病院の開催が頻繁になると、パソコンやプリンターなどの機材を持ち運ぶのが負担になること. 担当者だけに労力が集中して分散して負担することが難しいこと

 この様な反省から、パソコン受付方式はやめることにしました。しかしパソコンにデータを入力しておけば、いろいろと利用できることは確かなので、 パソコンでデータを管理することは継続することにしました。
 データ入力方式は申込書を事務局に持ち帰りバッチ処理で入力します。

 代わりの方法として、申込書、カルテ、預り証を一度に記入できるカーボン複写方式というのを考えました。この方式だとお客さんが申込書を書けばそれだけで処理が済んでしまいます。
 とりあえず印刷した普通紙を使用するのでカーボン紙を間にはさむのが面倒ですが、ノーカーボン複写紙への移行の前段階として、 この方式で様子をみることにしました。

 カルテ番号は予め用紙に書き込んでおきます。従って、同時に何人ものお客さんがみえても、この申込み用紙を渡して記入してもらえば済むことなので対応は容易になります。
 ただこの方式では前項に述べたパソコン利用のメリットが活かせないのはいたしかたありません。 つまりリピータがみえても申込書を書いてもらう必要があります。また複数個のおもちゃを持ち込まれたお客さんには、 おもちゃの個数分の申込書を書いてもらう必要があります。

 はじめはおもちゃには白いテープを張って、カルテ番号を手書きで記入していたのですが、これも大変だということで、番号を印字したシールを申込書に仮付けしておき、剥がして使うという方法に改良しました。

 このカーボン複写方式をほぼ1年間試行した後、ノーカーボン複写紙を使用したものに移行しました。

第4世代カルテ

 第3世代のノーカーボン方式を400部ほど試みて、これで何とかやって行けそうだという目途がつきました。
 次のロットを印刷しようという段階で、伝票の制作コストを見直してみました。

 結局ノーカーボン複写紙の値段が高いのです。しかもわずかな数量(200部相当)の複写紙を入手して使用しているの ですからなおさら割高になってしまいます。

 そこでこれまでA4 2分割で作っていたものを、3分割で作成するようにデザインを変更して複写紙の使用量を 30% 程減らしました。さらに思い切って一度に 1500部制作することにしました。これによって複写紙自体もある程度のコストダウンが可能となり、これまでの申込書が1部あたり 15円掛かっていたものを 7円弱のコストに下げることに成功しました。

第4世代カルテ改良

 1500部がそろそろ底をつきかけたので、つぎのロットを制作する必要がでてきました。
 これまでの方式でだいたい用は足りるのですが、懸念材料として、保存しておきたいカルテの客先情報が複写文字のため、長い期間を経ると消えてしまう恐れがあることです。
 逆にデータ入力が終われば用済みとなる申込書は、お客さんがボールペンで書いたものですからこれは消えません。 もったいない話です。カルテはドクターが直接書いたものですからこれも容易には消えません。

 そこで申込書とカルテを一緒にした、第1世代カルテと同様な考え方のものに変更することにしました。このようにすればボールペンで手書したものだけを残すことになり、経時変化で消えることは心配せずに済みそうです。記入内容には変更はなく、単に取扱が変わるだけです。

入力データの使い道

 前述したようにデータは Access で管理していますので、データを加工すればいろいろに利用できます。現在使用しているのは以下の通りです。

  1. 未返却おもちゃの一覧表作成(開院ごとに作成、ホームページにも掲載)
  2. おもちゃの病院の開院日誌の作成(開院ごとにスタッフ全員に配信)
  3. 年間修理数の集計(活動報告に使用)
  4. 年間修理数の過去比較データの作成(活動報告に使用)
  5. スコア表の作成(過去1年間に各ドクターが出席1回あたり何個の修理をしているかの順位表⇒修理品配分に使用)
  6. 未返却おもちゃの客先情報一覧表(事務局で使用)
  7. 直近過去100件の返却完了品リスト(ホームページに掲載)

 この他ドクターごとの期間修理数データとか、開催場所別修理数の集計とか、その他いろいろ用意しましたがこれらは全く利用していません。あれこれ用意するよりは、必要が出てきたらその都度クエリを作成してリストを作れば良さそうです。