モジュール 0.2 の歯車を修復する
ミニトーマスを修理する 2014/2/15


 ゼンマイで動くミニトーマス・スカイロイのゼンマイが巻けなくなりました。正確にはハンドルを巻き上げてもゼンマイがすぐ戻って しまいます。
 原因はご多分に洩れずギヤの歯の破損です。 歯数33の平歯車で3枚の歯が欠損しています。これに噛み合うゼンマイ側のピニオンギヤがここで空回りしてゼンマイが戻ってしまうわけです。


 これまでも歯車の再生はいろいろやってきましたが、今回のようにモジュールが 0.2 といった微細なケースは 初めてです。

 実測した直径から標準ギヤとしてモジュールを計算すると 0.189 となるのですが 、おそらく 0.2 と考えてよいでしょう。

 従来のギヤの修復では、正常部分の歯を型取りして、破損した部分に正常な歯型を転写して原型を作った のですが、今回はあまりに微細なのではたして歯が創生できるのか自信が持てません。

 かといって他に良い方法も思いつかないので、これまでにやった方法を繰り返してみました。
 破損部に転写した歯型が剥離しないように例によって破損部に補強用の穴をうがちます。
なにぶん歯車の厚さが 0.7mm しかありませんから、0.4mm のドリルをピンバイスにくわえて手回しで慎重に穴をあけます。 深さは 0.5mm 見当としておきました。

   
         修復した原型            モールド品

 速乾性エポキシ接着剤を使用して破損部に歯型を転写しました。ポットライフの制約で脱泡処理はしていません。 従って修復部位に気泡が入ったりして見栄えは良くありませんが、とりあえず形は出来ました。見た目では意外にシッカリした 歯が形成されました。

 あとはこの原型のシリコン型を取ってモールド品をつくります。注型用樹脂は手元にあった「低粘度透明エポキシ 樹脂」 なるものを使用しました。40℃5時間で硬化させました。

 このモールド歯車に金属シャフトを圧入してゼンマイユニットを組み上げます。
 ようやく完成したのでゼンマイを巻き上げてみますがミニトーマスは 動いてくれません。試みに強制的に何回か巻き戻させているうちに動くようになりました。 モールド歯車のなじみが悪かったようです。 とりあえずめでたしめでたしの結果となりました。

 というわけで、あまりシビアな条件でなければモジュール 0.2 でもなんとかギヤの修復は可能らしいことが分りました。 すんなり動いたわけではないので、なんとなし不安な印象は拭えないのですが。

歯型の転写の実際

 歯型を転写すると何度か書きましたが、大した事をしているわけではありません。
 左の写真のように、歯車のうち正常な歯型部分だけを一部分シリコンゴムで型取りします。

 すると下のように歯型パターンが出来ますので、接着性のある樹脂をたらしてから歯の欠けた部分をこのパターンに挿入します。樹脂が硬化すれば歯の欠けた部分に正常な歯型が転写されるというわけです。

 転写した歯型は接着面積が微細なので、補強の穴があるものの強度的には期待できません。
 従って、この転写で歯を再生した歯車を実際に再使用することは考えておらず、あくまでも型取りのための原型と位置づけています。